ミニ・くじテンダーで迷うのは、たいてい最後のライン選びのほうだと思われています。 しかし実際に期待値を計算すると、収支を左右しているのはその前の「3 マスをどこから開けるか」のほうです。 最後のライン選択は 8 本の数字を見比べれば答えが出ますが、 マスを開ける判断には「開けてみないと分からない情報の価値」が絡むため、目分量では当たりません。
このページは、くじテンダーの仕組みと期待値で説明した配当表を前提に、 開ける順番のほうだけを扱います。数字はすべて、 このサイトのツールが実際に使っている計算コードで求めたものです。
直感的には「大きい数字が出そうなマス」を開けたくなりますが、それは価値の定義として間違っています。 正しくは、そのマスを開けた後、最後まで最善を打ち続けた場合に受け取れる MGP の平均です。
たとえば 1 マス開けた結果が 9 だったか 4 だったかで、
その先の最善手はまるごと変わります。したがって「マス A を開ける価値」を出すには、
A に入りうる全ての数字について、その後の最善手を計算してから平均する必要があります。
その「その後の最善手」を出すにはさらに次のマスを……と、定義が自分自身を呼び戻します。
これは暗算できる形をしていません。 開始盤面から素直に全部を数えると 116,097 通りの枝を辿ることになります。 ただし同じ盤面には別の順番でも到達するので、実際に評価が必要な相異なる盤面は 20,448 通り (2 マス公開が 64、3 マス公開が 1,568、4 マス公開が 18,816)。 ツールは一度計算した盤面を記録しながら進むので、入力のたびに一瞬で答えが出ます。
ゲーム開始時に見えているのは 1 マスだけです。盤面は回転させても裏返しても同じなので、 公開マスの位置は「角・辺・中央」の 3 種類に集約でき、 そこに数字 1〜9 が入る 27 通りがすべての開始状況になります。 以下はその全 27 通りについて、最適に打ち続けた場合の期待 MGP と、そのとき最初に開けるべきマスです。
マスの呼び方は次のとおりです。角=四隅、辺=上下左右の中央、 中央=真ん中の 1 マス。表は公開マスが左上(角)/上(辺)/中央にある場合として書いていますが、 盤面を回転させれば他の位置にもそのまま当てはまります。
| 見えている数字 | 最適期待値 (MGP) | 最善の初手 | 最悪の初手 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1,678 | 右上 / 左下 | 右 / 下 (1,534) | 144 |
| 2 | 1,666 | 右上 / 左下 | 右 / 下 (1,511) | 155 |
| 3 | 1,663 | 右上 / 左下 | 右 / 下 (1,510) | 153 |
| 4 | 1,365 | 中央 | 上 / 左 (1,303) | 62 |
| 5 | 1,360 | 中央 | 上 / 左 (1,298) | 61 |
| 6 | 1,364 | 中央 | 上 / 左 (1,306) | 58 |
| 7 | 1,455 | 中央 | 上 / 左 (1,388) | 66 |
| 8 | 1,527 | 右上 / 中央 / 左下 | 上 / 左 (1,448) | 79 |
| 9 | 1,518 | 右上 / 中央 / 左下 | 上 / 左 (1,451) | 67 |
「右上 / 左下」は、公開マスと同じ行・同じ列にある別の角のことです
(斜めで結ばれた対角の角ではありません)。1〜3 が見えている盤面は
1+2+3 = 6(10,000 MGP)がまだ生きている状態なので、
そのラインの成否を早く確かめられる位置が選ばれます。
もっとも差は小さく、1 のときの中央は 1,677.5 で最善の 1,677.8 と
0.3 MGP しか違いません。ここは実質どちらでも構わない、というのが正確な答えです。
| 見えている数字 | 最適期待値 (MGP) | 最善の初手 | 最悪の初手 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1,411 | 中央 | 下 (1,310) | 102 |
| 2 | 1,415 | 中央 | 下 (1,310) | 105 |
| 3 | 1,406 | 中央 | 下 (1,303) | 104 |
| 4 | 1,443 | 左下 / 右下 | 下 (1,303) | 141 |
| 5 | 1,444 | 中央 / 左下 / 右下 | 下 (1,298) | 146 |
| 6 | 1,441 | 中央 | 下 (1,297) | 144 |
| 7 | 1,486 | 中央 | 下 (1,319) | 167 |
| 8 | 1,513 | 左上 / 右上 | 下 (1,338) | 175 |
| 9 | 1,518 | 左上 / 右上 | 下 (1,342) | 177 |
公開マスが辺のときは、最悪手が数字によらず「反対側の辺」で固定されます(上が見えているなら下)。
公開マスと 1 本もラインを共有しない唯一のマスなので、開けても手がかりが増えないためです。
一方で最善は 1〜3 と 6・7 では中央、8・9 では公開マスと同じ行の角、と入れ替わります。
| 見えている数字 | 最適期待値 (MGP) | 最善の初手 | 最悪の初手 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1,860 | 四隅のどれか | 辺 (1,823) | 37 |
| 2 | 1,833 | 四隅のどれか | 辺 (1,799) | 33 |
| 3 | 1,834 | 四隅のどれか | 辺 (1,799) | 36 |
| 4 | 1,172 | 四隅のどれか | 辺 (1,152) | 20 |
| 5 | 1,176 | 四隅のどれか | 辺 (1,150) | 26 |
| 6 | 1,235 | 四隅のどれか | 辺 (1,181) | 54 |
| 7 | 1,427 | 四隅のどれか | 辺 (1,326) | 102 |
| 8 | 1,545 | 四隅のどれか | 辺 (1,417) | 128 |
| 9 | 1,509 | 四隅のどれか | 辺 (1,401) | 108 |
中央が最初から見えている場合だけは話が単純で、四隅 4 マスがすべて同点の最善、辺 4 マスがすべて同点の最悪です。 中央が埋まっている盤面は 4 つの角がまったく同じ役割になるため、どの角を選んでも結果は変わりません。
表を全部並べると、数字や位置によらず成り立つ規則が 2 つ見えます。
理由は、そのマスが何本のラインに関わるかにあります。中央は 4 本(横・縦・斜め 2 本)、 角は 3 本(横・縦・斜め 1 本)、辺は 2 本(横・縦)だけです。 関わるライン数の差がそのまま手がかりの多さの差になるため、 辺を開けても選べるラインが広がりません。
1 行で覚えるなら: 初手は角か中央。辺は開けない。 ただし「常に中央が正解」は誤りです — 中央が空いている 18 通りのうち、 中央が最善なのは 10 通りで、残る 8 通りでは角のほうが上になります。
表を縦に見ると、最適期待値が数字によって大きく上下しているのが分かります。
中央が公開されている場合で比べると、1 なら 1,860 MGP、4 なら 1,172 MGP。
同じゲームの開始時点で 1.6 倍の差がついています。
これは配当表の形がそのまま出たものです。10,000 MGP の 1+2+3 = 6 と
3,600 MGP の 7+8+9 = 24 という 2 つの山があり、
1・2・3 が見えていれば前者が、8・9 が見えていれば後者が
まだ生きています。逆に 4・5・6 はどちらの山にも入れない数字なので、
最初から高額配当の目が消えた状態で始まることになります。
ここで大事なのは、この差はプレイヤーにはどうにもできないという点です。 悪い数字を引いたら、悪いなりの最善手を打つしかありません。 「今日は 4 が見えているから引きが悪い」と感じるのは正しく、実際に期待値が低い盤面です。
1 枚あたりで見ると、最善の初手と最悪の初手の差は 20〜177 MGP。 参加費が 10 MGP であることを考えると小さくない額ですが、 実際の被害はもっと大きくなります。初手を外すと 2 手目・3 手目の選択肢も一緒に悪くなるためです。
「毎回どのマスを開けるか考えず、空いているマスから適当に 3 つ開ける。 ただし最後のライン選択だけは正しく選ぶ」というプレイを最後まで計算すると、次のようになります。
| 打ち方 | 1 枚あたりの期待 MGP | 1 日 3 枚 | 30 日 |
|---|---|---|---|
| 最善を打ち続ける | 1,485 | 4,455 | 133,650 |
| 適当に 3 マス開ける | 1,204 | 3,612 | 108,360 |
| 差 | 281 | 843 | 25,290 |
1 か月で 25,000 MGP 前後。ライン選択を間違えないだけでは埋まらない差が、 マスの開け方だけで生まれています。逆に言えば、 ミニ・くじテンダーで工夫の余地があるのは実質ここだけです。
なお参加費は 1 枚 10 MGP なので、最善で打った場合の 1 枚あたりの収支は およそ +1,475 MGP になります。1 日 3 枚の制限があるのは、 このゲームがプレイヤー側に大きく傾いているためです。
ここまで初手の答えを表にできたのは、開始盤面が 27 通りしかないからです。 2 手目以降はそうはいきません。1 つの開始盤面から見て、 2 手目の盤面は 64 通り、3 手目は 1,568 通りあり、 開始盤面の数を掛ければ暗記できる量ではなくなります。
しかも 2 手目・3 手目こそ「見えている数字の組み合わせ」で答えが変わる場面です。 ミニくじテンダー期待値計算ツールは、 盤面を 1 マス入力するたびにこの計算をやり直して、 全ての未公開マスの期待値を降順で表示します。推奨に従わない判断もできるように、 1 位だけでなく全部の数字を出しています。
ほぼ足りますが、正確ではありません。中央が空いている開始盤面 18 通りのうち、 中央が最善なのは 10 通りです。残りでは角のほうが上になります。 ただし「辺を開けない」だけは 27 通りすべてで正しいので、 覚えるならこちらのほうが確実です。
初手についてはそのとおりです。ただし 2 手目は開始盤面ごとに 64 通り、 3 手目は 1,568 通りあり、表にできる量ではありません。 最後のライン選択も、未公開マスが残っているラインの期待値は 残り数字の全組み合わせを足さないと出ないので、暗算には向きません。
含まれていません。表の数字は受け取る MGP です。 収支で見たい場合は、そこから 10 MGP を引いてください。
未公開のマスを等確率で 3 つ開け、最後のライン選択だけは期待値が最大のものを選ぶ、 という打ち方を最後まで展開した平均値です。 ライン選択まで適当にした場合はさらに下がるので、 実際の差はこの 281 MGP より大きくなります。
このサイトのツールが動かしている計算コードを、そのまま呼び出して集計しました。 他サイトの数値を引き写したものではありません。 検算として、計算結果を記録しない素朴な再帰による別実装でも同じ値になることを確認しています。